担当:富永敦子
睡眠について悩んでいる方の中にも、できれば睡眠薬を飲みたくないと思っている方が多くいらっしゃいます。今回は「睡眠について」とりあげます。
睡眠薬は、不眠のタイプにより、薬理学的な作用や適切な用量を鑑みて処方される医療用医薬品と一時的な不眠の症状(寝つきが悪い、眠りが浅い)を緩和する目的の市販薬があります。
眠れないと思っていても、日中の生活に支障がなければ、睡眠薬を服用する必要はありません。目標は日中の生活の質の向上です。
医療用医薬品による薬物療法は、原則として週に3回以上の不眠がある場合です。
医療用医薬品の大分類として「ベンズジアゼピン受容体作動薬」「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」があります。
一般的な不眠には「ベンズジアゼピン受容体作動薬」を、不眠のタイプ、たとえば、寝つきが悪いのか、
中途覚醒なのか、それとも両方なのか、早期覚醒なのかなどによって選択します。
睡眠薬は一般的には最小の量からスタートし、1週間は連続して服用しその効果を実感しましょう。
また、薬を服用しているときはアルコールを禁止します。また、リズムを整えることが重要ですので、以下のポイントを実施してみましょう。
①起床時間を一定にする②就床時間を決める(眠りたい時間を眠れる時間に合わせる)③服薬のタイミングは入眠する前とする。
睡眠のリズムがうまくとれない方には「メラトニン受容体作動薬」を処方されることもあります。生体リズムを調節するメラトニンにより睡眠障害を改善します。
また、睡眠と覚醒調節に関連した役割をもつ脳内ペプチド「オレキシン」の受容体拮抗薬も近年発売されました。
オレキシン神経系の活動が低下することで、持続的な睡眠状況が誘導されるといわれています。
「健康づくりのための睡眠指針2014」厚労省を参考にして、よりよい睡眠をとるように心がけてください。
健康づくりのための睡眠指針 2014 厚生労働省
~睡眠 12 箇条~
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
参考文献
2014.12.27 日本医事新報
「健康づくりのための睡眠指針2014」厚労省HPより